2015年11月5日木曜日

マクロ経済学の基礎理論 武隈慎一著(新経済学ライブラリ)

マクロ経済学は、何とも悩ましい分野だ。
ミクロと違って様々な学派が存在し多種多様な議論を学んでいかなければならない。
さらに、近年のマクロ理論の発展は動学的最適化理論など
高度な数学的素養の援けなしに理解は不能である。
このような理由で、初級を終えた学習者が上級に進むときに「挫折」しがちだ。
これはマクロ経済理論学習書の橋渡し的な文献が圧倒的に不足していたことにもよる。
本書の存在意義は、まさにそのような初級から上級への橋渡し的機能を担うことにある。
本書の全体を通じたトーンは、
中級レベルのミクロ既習者になじみの深い分析手法(比較静学)により特徴付けられている。
このことは、本書が公務員試験など資格試験受験の準備にも有用な学習ツールたらしめている。
難点を挙げれば、最終章の最適成長モデルの叙述が簡潔すぎる点。
上級レベル議論の出発点となるだけに丁寧な解説が望まれる。

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